「それじゃ、乾杯といきますか!」
山門川の土手にて。
榊原隆太(13番)の提案で加川健介(9番)、酒井正輝(12番)、津田彰吾(17番)、仁科信彦(22番)の男5人で集まった。弐岡拓也(21番)も誘ったのだけど、彼は井伊裕輔(4番)、黒木晃(10番)と一緒に行動していたので誘えなかったのだ。
22時半を周っているので、当然のように辺りは真っ暗。川を挟んで見える家々の明かりだけが照らしていた。
『カンパーイッ!』
深夜の時間帯と言う事もあり、あまり大きな声を出すわけにはいかない。だが、出来るだけ出せる声を出した。
みんなの右手には先ほどコンビニで購入した缶チューハイ。リュータとケンスケはビールだが。
「こーゆう場所で飲むお酒は違うねぇ」
マサキ。凍結-13℃と言うチューハイのレモン味だ。
「これぞ正に青春って感じだね」
俺、津田彰吾。酒井君と同じく凍結-13℃。ウメ味。
「おめーらもビールにすればよかったのに」
リュータ。生一番と言う昔ながらのビール。
「ホントホント。こんな時くらいビール飲みなよ」
ケンスケ。リュータと同じく生一番。
「俺らはまだ子供だからチューハイで十分だよ」
ノブ。俺と酒井君と同じく凍結-13℃。味は期間限定アップル。
アルコールが入った所為もあり、外は震えるくらい寒かったけど、少し顔が赤くなってるのがわかる。
いやー正に青春だね。
「前までノブと話できなかったけど、今はこーやってお酒飲めてるのが嬉しいよ」
ケンスケだ。詳しい話は知らないのだが、二年の時の修学旅行以来、中々話が出来なかったらしい。
「あー俺も。ケンスケ君話しずらいオーラ出てたし」
「うそだー。ノブに嫌われてると思ってたし」
「それ、誤解だよ」
そこにマサキが割って入る。
「まぁまぁ、二人共さ。今は普通に話し出来てるんだからもういいじゃん」
「んまぁ、確かにね」
「ケンスケ君と話しが出来るようになったの、最近だって思えないしね」
「そんな事言ったら、俺もリュータと話しするようになったの最近だぜ」
俺は今のクラスになってから、生理的にリュータの事を受け付けていなかった。正直、今みたく仲良くできるとは思いもしなかったもんだ。だけどそれが今、こーやってお酒を片手に語れてる。
「つーか、結構最近までリュータの事嫌いだった気がするし」
「ホントだよなー。ま、俺もショーゴの事嫌いだったけど」
ははははは。
5人で笑う。
「ま、今笑えてるんだから、もう嫌いとか言わないの!」
また綺麗にマサキがまとめてくれた。
ホント、嬉しかった。これからも付き合っていける仲間と巡り会えた事が。
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